2015年12月16日水曜日

ちいさなおむすび屋をつくるー竹小舞掻きー

昔は家をつくるとことが決まったら、まず「土」を用意したそう。
それは土壁用の土で、切った藁を混ぜ込み、寝かしておく。
その間に木を切り出し、製材し、木材を刻み、棟上げし、土壁の土台となる「小舞(こまい)」(近所のおじちゃんは「えつり」という)を編む。

竹で編んだ小舞は「竹小舞」。
竹が採れない地域では、細い木なども使うそう。
まずは小屋の軸組に、少しだけ穴を掘り、小舞の軸となる竹を縦と横に数本ずつ、はめ込む。
軸ができたら、竹を編んでいく。編むのだけど「掻く(かく)」という。
縦に竹を置きながら、軸となっている竹に麻縄で、掻いていく。
続いて、横に竹を掻いていく。





出来上がった土壁の下地である竹小舞は、とてもきれいで、土を塗ってしまうのがもったいない。
作業は地味でなかなか進まないのだけど、編みあがった面を見るとあふれる満足感。
そんな作業に、今日は町内から頼もしい助っ人が。
はじめの一本だけ編み方をお伝えすると、あとは一人でぐんぐん編んでくれました!早い!!
作業しづらい上面にも関わらず、あっという間に、1面完成!
ほんとにありがとうございます。


土壁は法隆寺にも使われている古い技術。
木造軸組み構法には、強すぎず、全体でやわらかく力を吸収する土壁ほど、ふさわしいものはないという。
「竹小舞掻き」を専門とする竹小舞職人さんもいるくらいなので、技術が洗練されていることがわかります。
しかし、阪神淡路大震災を境に、乾式工法の壁への転換が進み、壁土製造所も減っていったそうです。
このあたりの土壁のことについては、NPO法人土壁ネットワークさんがとてもわかりやすい冊子「土壁のつくりかた」を作っています。送料のみで送って下さるので、ご興味のある方はぜひ!

時間はかかるけど、機能性があり、ほっとする美しさがあり、何より地域にある素材でできて、職人さんのような速さと美しさを求めなければ、自分たちでもできる(まだ途中ですが)。
そんな技術を味わいながら、いろいろな方にご協力いただきながら、建てています。




2015年12月8日火曜日

ちいさなおむすび屋をつくる-旅とくらしと-

どこかへ旅をする時、観光名所もおいしい名物料理も、もちろん良いのですが、そこに住む人たちと一緒に時間を過ごして、暮らしぶりを見たり、一緒にやってみたり、そこから生み出される暮らしの風景を見たりするのがすごく好きです。
だから、家へ来てくれた人にも、せっかくなのでと、ついつい色々一緒にやりたくなってしまいます。
先日はるばる来てくれたのは、アメリカに住んでいる友人夫妻とその友人二人。
日本に訪れた初日(移動日を除いて)から、おじいちゃんの家に来たような懐かしい日本を、ちょっぴり一緒に味わってもらいました。
お手伝いいただいた作業
・大豆の脱穀
 ビンでトントントンと。残り3種類あった脱穀待ちの大豆のうち、2種類の大豆の脱穀完了!


・おむすび小屋の土壁用の竹小舞編み
 アメリカでは、家の内装をDIYして住みやすくしていくのは普通のこと、大工仕事好きの友人の旦那さんは慣れた様子で頼もしかった!




・おむすびの試食
 外国人観光客の多い熊野古道で、どんなおむすびがよいか探るべく、3種類のおむすびを食べてもらいました。梅干しはストロングな味とのことで外国の方にはやっぱり難しそうです。
 
移動の疲れもあるはずなのに、ご飯の準備も手伝ってくれて。色々野菜を切ってもらい、鍋の具材や味噌と醤油ベースのおかずに。土鍋炊きの棚田の新米ご飯と漬物をいつものちゃぶ台とテーブルに並べて。地域の名物、茶がゆや、高菜漬け、よもぎもち(生のよもぎたっぷりでとってもおいしい!)、落花生もちに落花生豆腐、焼きイモなども出したり。どうかな、どうかなと心配には全く及ばず、どれもお箸で上手に、そしてもぐもぐ食べてくれて。嬉しいなぁ。
2日目は一緒に那智の滝へ。こちらへ来て半年、観光地らしいところへ全然行ってなかったので便乗させてもらいました。平日で、12月に入ったこともあり、人が少なくて、歩きやすかった。そして、個人的に関心が高かったのはお寺の建物。屋根の材は?太い柱にホゾ穴を開けるのは大変だったろうなぁ、など、日本の宮大工さんの技術、ほんとにすごいです。


アメリカ人の女性二人が、休む間もなく撮っていたたくさん写真。見せてもらうと、色鮮やかな近所の紅葉と銀杏だったり、蜂がコスモスの蜜を吸う瞬間だったり、アメリカにはないビートル(車)の軽のワゴンだったり。旅の途中はちょっとした光景もどれもステキな思い出の一部で、キラキラしてる。でも本当は日々の暮らしの光景もキラキラしたものがちりばめられていて。私たちの何気ない日々の暮らし(もちろんそれを結構楽しんでいるつもりですが)に、あらためてキラキラと光りを当ててもらった感じです。楽しい時間をありがとう!

2015年11月24日火曜日

ちいさなおむすび屋をつくるー棟上げー

7月くらいから、大工さんに教わりつつ、山の途中の「ちいさなおむすび屋」をつくるべく、準備をしてきました。


いつか家を建ててみたいなぁと思っていたので、家ではなくて小屋ですが、こんな形で実現するのはとても嬉しいこと。
建てるにあたり、こんなことを大切にして、ゆっくりやってます。
・お金をかけずにできるだけ自分たちで作る
 その中で、昔ながらの作り方をまなぶ、技術に触れる。これからも自分たちで母屋を直したり、新たな小屋を建てたりすることがあるはず!?
・できるだけ近くの材やあるものを材料に使う
 見渡せば、戦後に植林された杉、桧の山々。また「古い家の取り壊しがあるから使える材がないか見てみたら」と声をかけていただいたり。今身近にあるものを少しでもうまく活用できれば。
・つくる過程でいろんな人に関わってもらう
 昔はもっと身近だった家づくり。その過程をちょっと覗けたり、お店や小屋を建てたいとワクワクするきっかけになったら。
 また、この場所が地域の人、旅の人、いろんな人にとって心地よい場所になったら嬉しいなと思って。
棟上げに向けて進めてきた準備。昔ながらの軸組み工法なので、材に墨で印をつけて、刻んでいくのですが、自分たちでやるとなると、限られた道具の中でやらなければなりません。ドリルで穴をあけて、ノミをトンカチでたたき削ります。基本的にこういう作業は好きなのですが、棟上げの日が決まっている中で進めていかなければならず、楽しみつつ、少し焦りつつで、なんとか棟上げ前日までにほぼ全部の材を準備することができました。
そして、21日の棟上げ当日。
同じ集落から、町内から(町内といっても、山を登ってこないといけない)、はたまた埼玉の旅の途中の友人など、大工さんもあわせて、7人も男手(+場を和ませてくれた男の子)が集まってくれました!
ほんとは4人いれば十分と言われていたので、こうやっていろんな人が集まってくれたのはとてもありがたいこと。
にぎやかに棟上げがはじまりました。




棟上げは男手にまかせ、ちゃんと材が合わさっていくのか、そわそわしながら見守っていました。途中、材が入る所にホゾが開いていなかったり、ホゾが小さかったり、色々ありましたが、無事に建ってくれました。すごい!

いろんな人が手伝いに来てくれたことも嬉しかったのですが、ご近所さんがお昼ご飯の準備を手伝ってくれて具だくさんのお味噌汁を作ってくれたり、「お祝いだから」と栗と小豆たっぷりのおこわを持ってきてくれたり、こんなお弁当を出せたらなと思うような素敵なお重箱のお弁当を用意してくれたりと、いろんな人が心を寄せてくれたこともほんとに嬉しかったです。ありがとうございます。
母屋のえんがわ前でお昼を囲むみなさんの姿が、とってもよくて。こんな風におむすび屋の前でいろんな人がもぐもぐ食べてくれる場になったら嬉しいなぁ。
地域の人も、すぐ上のお地蔵さんのお参りにとか、横にある防火水槽を見にとか、お隣さんに寄ったついでにとか、色々理由をつけて(笑)見に来てくれます。そうやって気にかけてくださっているのも、とても嬉しく。
棟上げが終ると、だいぶできたような気がしますが、これからの工程はまだまだ長いそう。
まずは土壁づくりのために竹小舞(たけこまい)を編んでいきます。
竹小舞はずっとやりたかった作業の一つ。続きが楽しみです。

2015年9月29日火曜日

ちいさなおむすび小屋をつくる-土壁用の土練り-

先週は東京の友人たちが遊びに来てくれたり、東京から大阪に来ている友人たちに会いに行ったり。会って一緒に時間を過ごすことで、あらためてどんな暮らしがしたいのか振り返る機会にもなりました。
東京から遊びに来てくれた友人たちは「これからの暮らしを考えたいから」(言い回しは違ったかもしれませんが)ということだったので、今の私たちの日々の暮らしを一緒に過ごしてもらいました。
・秋冬野菜の苗植え、がんばってる夏野菜の収穫をして
・家の裏の草刈りして、自家製梅ジュースを飲んで
・おむすび屋さんの壁となる土壁の土を練って(水と切った藁を入れて、足で踏みこんでいく)
・一緒にご飯をつくって、食べて、片付けて
・古道を探検散歩して
・おやつも食べて、ご近所さんのバーベキューにも参加して

















暮らしにはたくさんのしごとがあって、地域の人たちは季節にあわせてタイミングよくしごとを行っていく。例えば田んぼの畦の草刈りはヒガンバナが咲く前に終わらせる。すると気づけばきれいになった畦にヒガンバナがのびのび咲いている。
今回は、まだまだ日々の暮らしにいっぱいいっぱいの私たちの暮らしのしごと、「暮らしごと」をたくさん手伝ってもらいました。ほんとに感謝感謝。何気ない「暮らしごと」の中に、これからの二人の暮らしに役立つ種がつまっていたら嬉しいなぁ。暮らし芽がちょうどよいタイミングで芽吹きますように。
ここでの暮らしも、5か月目に入りました。
キンモクセイ香る秋。

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